こんにちは。
心と身体の専門家 金子 敏昭です。
今回もあなたが病気をやめて健康を取り戻すためのヒントをお届けしていきます。
今回は、
日本で1000万人以上の患者がいると言われている気管支喘息について取り上げてみたいと思います。
症状の程度にはもちろん個人差はありますが、患っている方の数から言えばものすごい数ですね。
喘息は、伝統鍼灸の治療でもよく遭遇する病気のひとつだと言えます。
ただ、喘息についての情報に関しては、当然のことながら巷に溢れていますので、
こころの鍼ブログでは、
まずは、私が専門とする東洋医学の視点から、喘息をどう捉えてどう治療していくのかをわかりやすくお伝えしていきます。
ただ、それだけだと単に東洋医学の情報で終わってしまいますので、
次にこれまでにない視点…すなわち、
喘息にも深く関わってくる心理的ストレスを、より深い潜在意識の視点から捉えて、
身体の病気を水面下で牛耳る『喘息をおこす潜在意識の本当の理由』と『その対策』についても解説していきますね。
今このブログを読まれているということは、
もしかしたらあなたは、
喘息を患っておられて、長年その症状や薬の副作用に苦しんでこられたのかもしれません。
そして、
より良い治療法や手立てを探しているうちにこのページにたどり着かれたのかもしれません。
あなたがもしこのブログを読まれるとしたら、
現在の科学ではまだ証明されていないこころの鍼ブログの内容に驚かれることでしょう。
でもそんなあなたにこそ役立つような、より中身の濃い情報をお届けしていきたいと思いますので、以下お付き合いくださいませ。
(※喘息をおこす心の理由に興味のある方は後編からお読みください。)
喘息についての概略
それではまず最初に、
もうご存知でしょうが、現代医学の視点から喘息についての現時点での知見を簡単に紹介してみます。
喘息は、空気の通り道である気管支に慢性の炎症が起こることによって、ほこりやストレス等の刺激で咳や痰が出やすくなり、ヒューヒューゼェゼェという喘鳴がおこる病気ですね。
アレルギーをおこすアレルゲンがはっきり特定できるものと、そうでないものに分かれますが、
いずれにしても、直接的には気道におこる炎症が原因となります。
その炎症がおこるそもそもの原因は、
西洋医学では、排気ガス等の大気の汚染、食品から摂取される化学物質、ストレスの増加や、過度に衛生的になった生活環境などが関与すると言われており、
治療としては、
気道の炎症を抑える薬や、気道を広げる薬を処方して発作を抑えつつ、長期的に症状をコントロールしていきます。
そして、多くの方がステロイドの吸入を主体として治療をされているということは、よくご存知のことかと思います。
東洋医学の視点から
それでは次に、東洋医学の視点から喘息を捉えていきますね。
東洋医学では、喘息のことを「哮喘(こうぜん)」という病名で捉えます。
ちなみに、「哮」はヒューヒューゼェゼェという喘鳴の状態を、「喘」は息ができない呼吸困難の状態をそれぞれ表していて、どちらも発作期と緩解期に分かれます
「哮(ヒューヒュー)」には「喘(呼吸困難)」を伴い、「喘(呼吸困難)」には「哮(ヒューヒュー)」を伴うとは限りませんが、通常は両方の状態をひとまとめにして「哮喘」と呼称します。
そして、「哮」と「喘」をひきおこす原因はそれぞれ10通りくらい挙げられており、それらの原因に元々の体質の違いが絡んでくると、
同じ「喘息」と診断された方達でも東洋医学的に「哮喘」として診た場合、発症のメカニズムが異なっているということもよくみられます。
そこで、
本ブログでは、喘息(哮喘)の中でも最もよく見受けられる原因に絞ってお伝えしていこうと思います。
呼吸と「喘(呼吸困難)」
まずは呼吸について、東洋医学的に簡単にご説明します。
呼吸というのは、呼気と吸気で成り立ちますね。
呼気は、上に持ち上げ外に排出する「上・外」のベクトルを持った働きです。逆に吸気は、内に取り込み下に降ろす「内・下」のベクトルを持った働きです。
この働きの正常な繰り返しで呼吸が行われますが、
東洋医学では、「上・外」のベクトルを持った働きを『宣発(せんぱつ)』、「内・下」のベクトルを持った働きを『粛降(しゅくこう)』と名付けました。
この、「宣発(せんぱつ)」「粛降(しゅくこう)」と呼ばれる働きに何らかの異常がおこると、「上・下・内・外」の気の流れのベクトルが乱れ哮喘(喘息)の「喘(呼吸困難)」がおこります。
最も多い「喘」の原因とは?
宣発と粛降の働きを阻害する直接原因として最も多いのは、『湿痰(しったん)』と『邪熱(じゃねつ)』という毒素です。
「湿痰(しったん)」というのは、身体の正常な体液が滞って淀んだものとご理解ください。
流れる水は腐らないと言いますが、水を代謝させる働きが異常をおこすことで、水を流すことができないか排出することができなくなってつくられるのが湿痰です。
湿痰を生じる大元の原因は、主に食べ過ぎ飲み過ぎ、お酒、味の濃いもの脂っこいもの冷たいものの過食、早食い、食事時間が不規則等の飲食の不摂生や、あと運動不足です。
そのように生じた淀んだ水が、宣発と粛降の働きを阻害する場合に喘(呼吸困難)がおこります。
ゆえに、この場合は、
湿痰を流して排出させる治療をすると同時に、飲食の節制と適度な運動をしていくことが必須の養生になります。
一方、「邪熱(じゃねつ)」という毒素は、生命エネルギーである「気」の流れが滞り、温かいエネルギーが圧縮されて余分な熱に変質したものです。
邪熱を生じさせる大元の原因は、心理的ストレスによる緊張で気を淀みなく流す働きにブレーキをかけてしまうことです。
運動不足や運動のしすぎでも気が滞りますが、慢性的に生じる邪熱のほとんどは心理的ストレスに起因します。
邪熱は身体に炎症をおこす原因にもなり、もし邪熱が宣発(呼)と粛降(吸)の働きを阻害した場合には、やはり喘(呼吸困難)をおこします。
ゆえに、この場合は、
気を流して邪熱を散らして冷ます治療をするとともに、心理的ストレスを解消していくための養生が不可欠になってきます。
喘(呼吸困難)の原因として最も多いのが、この2つの毒素です。
これらの毒素が、単独かあるいはペアになって呼吸の働きを阻害すると喘(呼吸困難)になります。
特に湿痰は、身体を動かさない時間帯により淀みが強くなるので、
「湿痰>邪熱」の場合は夜間や明け方に症状をおこしやすく、「湿痰<邪熱」の場合は昼間や夕方に症状をおこしやすいという特徴はでてきます。
それでは次に、哮(ヒューヒューゼェゼェ)の原因をわかりやすくお伝えしていきますね。
「哮」の原因
哮というのは、ヒューヒューゼェゼェという喘鳴がおこる状態で、発作期には必ず喘(呼吸困難)を伴います。
哮の発作をひきおこす直接原因は、ほとんどが湿痰です。
ちなみに、哮と喘の違いは湿痰の有無です。喘には必ずしも湿痰の関与はありません。
そして湿痰は、呼吸器だけではなく身体のどこにでも停滞してきます。身体がむくんだり膝が腫れて痛んだりというのはわかりやすい例かもしれません。
ただ、呼吸器により多くの湿痰が蓄積された場合は、発作をおこした時の程度がよりひどくなります。
そして発作をおこす引き金になるのが、
寒さ等の気候の変動や、心理的ストレスによる気の滞りやそれに伴う邪熱、飲食の不摂生による湿痰のさらなる増加です。
哮の発作をおこした場合は、それらの引き金となる原因を除くことで発作をおさめていきますが、今では吸入ステロイドで発作をおさめることが一般的ですね。
ただ、哮を治すためには、急場をしのいだ後…つまり発作がおきていない緩解期に行う処置が非常に大切になってきます。
それは、発作がおきてない緩解期の間に、哮の直接的な原因になる湿痰の堆積を少しでも減らしていくことですね。
水の通りをよくしていく治療によって蓄積された湿痰をどんどん減らしていくことと、食養生と適度な運動によって湿痰を溜めないことが治療の大切なポイントになります。
以上、東洋医学の視点から最もよく見受けられる喘息(哮喘)の原因と対処についてお伝えしてきました。
ここまでの内容をまとめると、
●東洋医学で最も多くみられる喘息の原因は「湿痰」と「邪熱」という毒素。
●湿痰は食べ過ぎ飲み過ぎ等の飲食の不摂生や運動不足で生じ、邪熱は心理的ストレスによって生じる。
●湿痰は身体の水の通りをよくする治療と食養生・適度な運動が重要。邪熱は気を流し熱を散らす治療とストレスの解消が重要。
●発作がない間は湿痰を体外に排出する治療と湿痰をためない養生をすることが大切。
ということでした。
次回の後編ではいよいよ、身体の病気を水面下で牛耳る、
『喘息をおこしてしまう潜在意識の本当の理由』と『その対策』について解説していきたいと思います。
どうぞお楽しみに!
後編につづく