《前編のつづき》
前回の前編では、
現代医学の最新の知見では、「慢性炎症」という長期化した炎症状態が、ガンを含めあらゆる病気に関与していることがわかってきたということと、
ガンを東洋医学の視点から分析すると、それは4種類の邪気(毒素)の結集でできており、
中でも特に厄介な邪気である「気滞(きたい)」を解消できれば、
ガンの中期や末期の状態であっても、改善の望みはあるということをお伝えしました。
そのうえで後編の今回は、
東洋医学で言う「気滞」とはそもそもどういうもので、どのように生じるのか、どうやって解消するのかをもっと深く踏み込んでお伝えしていきたいと思います。
気滞とは?
東洋医学では、常に「気」という生命エネルギーの流れを意識して治療していきます。
気に関する詳しい解説はここでは割愛しますが、気は生命エネルギーのようなもので、身体の中にも表面にも流れているものです。
皮膚のすぐ上にもオーラのような感じで流れていますが、鍼はこの皮膚表面の気の流れを直接扱うための道具です。
そのような気の流れが滞った状態を「気滞」と言います。
「気滞」は、すべての病気がここから始まると言っても過言ではないくらいに、東洋医学においては万病の元と位置づけられている病態です。
さらに「気滞」が長期化すると、「邪熱(じゃねつ)」という余分な熱に変質して身体に炎症をおこす原因をつくってしまいます。
そういう意味では「気滞」や「邪熱」は、前編でご紹介した「慢性炎症」と重なる部分もあるかもしれません。
気滞が生じる2つの原因
では次に、
「気滞」がどのように生じるかですが、大きく分けてふたつのパターンがあります。
ひとつは、
過剰な肉体労働やトレーニング等で身体を動かし過ぎて、肉体的な疲労を溜めてしまったり、
逆に休息が過多だったり、座りっぱなし等の長時間同じ姿勢をしていたり等、身体を動かすことをしなさ過ぎたりすると気の流れは悪くなります。
これらは物理的な原因によって気滞を生じるパターンですね。
そしてもうひとつは、心の状態に影響されて生じる気滞です。
様々な心理的ストレスによって、心がのびのびと軽い状態になれない時にもやはり気の流れは悪くなります。
このように、
気の流れが悪くなる原因は、大きく肉体的なものと精神的なものに分けられます。
ただし、
肉体的な原因によるものであれば、まだ対処はしやすいのです。
すなわち、
身体にかかる物理的な負荷を減らしてみたり、適度な運動をして気を流してみたり、環境を変えてみたり…
それが難しければ、身体に対しての治療…たとえばマッサージ等を定期的に行うことで疲労を除き、外側から気を流してあげることで重症化を防ぐことができます。
また、
物理的な負荷によっておこる気滞は、たとえ悪化したとしても、ガンや膠原病等の難病につながることはほとんどないと言えるでしょう。
ということで、
気滞を生じさせる原因として本当に問題となるのは、心理的ストレスによって内側からかかるブレーキの方です。
ストレス⇒気滞のメカニズム
東洋医学的に言えば、
そもそも人間の身体には、気をよどみなく流す「疏泄(そせつ)」という働きが備わっています。
この働きは、身体の新陳代謝や自律神経の働き、免疫の働き、ホルモンの分泌等、多くの生理機能に関わります。
つまり、
「疏泄(そせつ)」がうまく働かないと、それらの機能に異常がおこりやすくなるのですね。
そしてここからが本題ですが、
実はこの「疏泄」という働きには、なんと心の状態に逐一影響されるという性質があります。
中でも特に影響が強いのは、私達が普段あまり意識することのできない潜在意識の状態です。
ここで簡単な例を挙げてみます。
私達が、何か腹立たしいことにあってイライラしたとすると、
そのイライラは気をのびのびとよどみなく流す「疏泄」の働きにブレーキをかけてしまいます。
そのイライラが長引くと、やがて気の流れが滞り、気が淀んだ「気滞」という状態が生じます。
そるによって、身体の新陳代謝や自律神経の働き、免疫の働き、ホルモンの分泌等、多くの生理機能に異常がおこりやすくなります。
しかしイライラがなくなれば、その時点で「疏泄」がまたうまく流れ出すため、健康な状態を取り戻すことができます。
ところが、
そのようなことを頻繁に繰り返していると、徐々に潜在意識にイライラの感情が刷り込まれていくようになります。
実は潜在意識は、私達が寝ている間もずっと働き続けています。
つまり、
潜在意識に気をよどみなく流す働きにブレーキをかけてしまう感情が刷り込まれると、
表面的な意識では特にイライラしていなくても、心の奥に刷り込まれたイライラの感情が、常に気の流れにブレーキをかけ続けることになるのですね。
しかし逆に言うと、
心地良い感情は、「疏泄」の働きを適度に促進して、健康をつくっていくことにもつながりますので、悪い面ばっかりでもないのですね。
ガンをつくる心の原因
それでは最後に一番大切な、
どういう感情が、ガンをひきおこす「気滞」を生じさせるのかということです。
病気全般に言えることは、病気の背景には多くのケースで『許せない!』という思いがあることです。
これはもちろん、
表面的な意識で思っているというよりは、自分が気づいていない潜在意識での思いになります。
何を許せないかは人それぞれに違いますが、
その対象は、周囲の人だったり、自分が置かれている環境だったり、自分自身だったりします。
ガンの場合はそれとセットで、
強い怒りの感情を心の奥底にため込んでいることが多いのですね。
以前のブログでも書きましたが、
アメリカで行われた調査では、ガン患者には、怒りや悲しみ、不安、恐怖等のネガティブな感情を表に出さない忍耐強さを持つ傾向があるということがわかり、
そのような精神的傾向性に「タイプC」と名付けました。
また、
病気と心理的ストレスや性格の関連性を研究している「精神神経免疫学」という分野では、
「多くのがん研究でいちばん共通して挙げられているリスク要因は、特に怒りに関する感情を表現できないことである。」
ということが言われています。
そして、
その怒りをもう少し深く探っていくと、
「こんな自分は恥ずかしい…」と自分を恥じたり、
「自分が悪い…」と罪悪感を持って自分を責めたりするような、恥や罪悪感という感情にたどり着くこともあります。
忍耐強さや責任感の強さゆえに、自分を捌くと同時に、自分の怒りの感情を極限まで押し殺してしまうのですね。
実際には、
ガンのできる部位によってストレスには傾向性があり、人によっても怒りの内容はそれぞれですが、
おしなべて、ガンには『怒り』の感情が深く関わっているのです。
そのような、潜在意識に刷り込まれた強い怒りは、気をよどみなく流す働きに内側から強いブレーキをかけてしまいます。
実は、これが水面下で頑固な「気滞」を生じさせる大元なのですね。
内側からのブレーキを解除する必要性
このように、
頑固な「気滞」をおこす内側からのブレーキがそのままだと、いくら外側から「気滞」を解消させる処置をしても、なかなか流れてくれるものではありません。
邪気の接着剤の役割を果たす「気滞」が解除できなければ、
ガンとして凝り固まった邪気(毒素)の塊を小さくしていくこともできません。
そのうちに徐々に体力も疲弊してきて、重症度のステージも時間と共に悪化していきます。
したがって結論を言うと、
内側からかけているブレーキは、内側から緩めるしかありません。
ガンの場合は往々にして、自分を許せないという強い怒りを意識せずにため込んでいます。
表面的な意識ではすでに気づけない怒りの原因を、過去の体験をひも解いて丁寧に丁寧に洗い出し、
何のためにそこまで怒りをためる必要があったのかの本当の理由を理解していくことで、内側からのブレーキは徐々に緩んでいきます。
そうすることで、
再び気がよどみなく流れ出し、邪気を強固にくっつけていた接着剤が融解していき、
凝り固まった邪気の塊もほどけやすくなっていくのですね。
このように、
東洋医学のステージ分類で中期から末期に至ったガンでは、身体の治療だけではなく、内側から気の流れにブレーキをかけている要因にアプローチしていくことが必要不可欠になるのです。
最後に簡単にまとめてみると、
ガンは4種類の邪気(毒素)で構成されており、中でも一番厄介な邪気が、気の流れが滞っておこる「気滞」というものでした。
「気滞」には肉体的原因と心理的原因があり、よりやっかいなのは心理的原因の方で、
特にガンの場合は、潜在意識下に強い「怒り」の感情があり、その原因を洗い出して「怒り」を緩めていくことが、気を再び流すことにつながるということでした。
ということで、
今回は前後編の2回にわたって、東洋医学と心(潜在意識)の視点からガンの原因を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
ガンに限らず、あらゆる病気に対して身体の治療をしていくことはもちろん大切ですが、
画像や数値に表せない部分に、目に見える現象の真因が潜んでいるということがあります。
今回の内容があなたにとって、
目に見える身体の健康だけではなく、目に見えない心の健康も大切にしていくきっかけとなれば幸いです。
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